債務整理と元本確定請求通知

2010 年 9 月 6 日 月曜日 投稿者:mituoka

債務整理中のA(弁護士が介入済み)が所有する不動産に根抵当権(債務者A、根抵当権者B銀行)が設定されている。根抵当権者B銀行の担当者から電話が入った。

今般、C債権回収㈱へ債権譲渡をしたい。その前段階として、元本確定請求通知を送りたいのだが、送り先はAさん本人でいいのか?それとも弁護士に送るべきか?

貸金業法21条第1項9号によれば、債務者が弁護士・司法書士(または弁護士法人・司法書士法人)に債務整理を依頼した後に、債権者が債務者本人へ直接取り立ての連絡をすることは許されないことになっているが、「元本確定請求」は「取り立て」ではない。

また、不動産登記法上、元本確定登記申請においてはAさん(不動産所有者)が「権利者」、B銀行が「義務者」とされ、Aさんは「権利を得る者(権利者)」として扱うこととされている。元本確定によってAさんが不利益を被ることはないはずだ。

つまり、本件のケースは、本人に対して通知することは許されると解される。

また、そもそも、弁護士等が元本確定請求通知を受け取ることは可能だろうか。本件の弁護士が有する代理権は債務整理についてのもの。債務整理は、多重債務等により返済に窮する依頼者の負担を軽減するを目的とする。元本確定が前述の性質(Aさんの利益となる)を有するのならば、その代理権は「確定請求通知を受領すること」を包含していると考えることもできなくはない。

だが一方、弁護士が確定請求通知を受領した場合には、元本確定登記申請(単独申請)の段階においてとても厄介になる。(以下は登記の専門家たる司法書士ならではの見解ということになろうが)設定者が請求通知を受け取った旨の証明書を添付すれば、元本確定登記は根抵当権者B銀行の単独申請が許される(C債権回収への根抵当権移転登記と同時に申請することを条件とする)。本件に似たケースとして、破産管財人が確定請求通知を受領した場合には、代理権権限証書として破産管財人証明書を付せば登記申請は受理されるという先例があるのだが、受領者が単なる債務整理の代理人であったなら、どんな書類によって代理人であることを証明すればいいのか?まさか債務整理開始通知(いわゆる受任通知)でよかろうはずはない。

結論として、設定者が債務整理中といえども、元本確定請求通知は設定者本人へ直接発送すべきである。

 

 

 

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