日航(日本航空)と静岡県の民事裁判

2011 年 1 月 5 日 水曜日 投稿者:mituoka

 日本航空の静岡―福岡線(3月末で運休)をめぐり、経営再建中の日航が県に運航支援金約1億5300万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日午後、東京地裁(大段亨裁判長)で開かれた。県側は原告の請求を棄却することを求める答弁書を提出し、全面的に争う姿勢を示した。
 日航は訴状で、「静岡空港乗り入れを決めたのは県が2009年6月の『福岡線運航支援』の覚書で(搭乗率に応じて県が)運航支援金を(日航に)支払う約束をしたため」で、覚書の対象期間の同年6月~10年3月まで運航を継続した以上、「運航支援金の支払いを履行するのは当然」と主張した。
 福岡線撤退について日航は07年10月の「静岡空港の利活用推進」の覚書に定められた「双方で協議する」との文言に従い、事前調整の上、文書、面談で伝えた―などと手続きの正当性も訴えている。
 一方、県は答弁書で、日航が静岡空港からの路線撤退を決めたことは09年の覚書に定められた「日航、県ともに予期し得なかった重大な事情変更」に当たり、その場合に行われるべき両者間の協議がなされなかったため、運航支援金を支払う条件が整っていない―などと反論した。
 次回弁論は来年1月28日午前11時15分から。日航から県の主張に対する反論が行われる予定だ。
(2010年12月18日付 静岡新聞WEBより抜粋)

 昨年1月静岡県司法書士会等が主催した新年賀詞交歓会で川勝平太静岡県知事と会話する機会があったが、当時から「日航が3月で撤退したら断固として支払わない」とおっしゃっていた。その言葉通りに全面対決する姿勢を示している。

 静岡-福岡線は私も何度か利用している。福岡空港は市街地や博多駅からほど近く、とても立地条件が良い。この路線だけは廃止してほしくないと思っていたところ日航撤退後にFDAが引き継いでくれたのでホッと胸をなで下ろした。

 さて、わずか9カ月で撤退したことが「重大な事情変更」にあたるのか、それに関する充分な協議が行われたか、あるいは撤退そのものが「信義則違反」にあたるか、が今後の争点となるだろう。静岡県民にとって興味深い裁判だ。

 日航は会社更生手続中なので安易な妥協(和解)などできないのは当然。加えて静岡県側もこの姿勢なので、裁判は長期化するものと思われる。

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