皇帝シンボリルドルフ逝く
2011 年 10 月 5 日 水曜日 投稿者:mituoka私が競馬を知るきっかけになった馬が死んだ
昭和60年の10月
先輩にそそのかされて、天皇賞の馬券を買った
生まれて初めてのギャンブル
怖かったが、先輩の言葉を信じた
「大丈夫、このレースは簡単だ」
なんでも、史上最強馬が出走しているらしい
その馬から流せば確実に当たる
レースが始まってから、緑の勝負服ばかりを目で追っていた
最後の直線、「緑」が先頭に躍り出た
やっぱりな、先輩はすごいや、この馬は強いんだ
しかし、ラスト200m
大外から、黄色地に黒いストライプの勝負服が物凄い勢いで差してきた
「うゎ!なんだぁ?この馬!」
先輩が叫んだ
「アッと驚くギャロップダイナ!」
アナウンサーも叫んだ
史上最強馬が、当時無名だった13番人気の馬に負けたのだ
その後、ルドルフはジャパンカップと有馬記念を噂に違わぬ強さで圧勝した
ギャロップダイナに負けた直後の馬房で、
大粒の涙をこぼしたというルドルフの、男の意地を見た
彼が引退してからも競馬界には
ミホシンザンやサクラユタカオーという名馬が次々に出現し、
私はますます競馬にハマっていった
一方、もちろん、ときどき馬券を買ったが、馬券にハマることはなかった
それは、初めて買ったレースが、あの天皇賞だったから
ギャンブルに絶対はない、という教訓をルドルフから授かった
オッズではなく、サラブレッドの美しさ・血統の不思議さを通して
競馬を見続けることができたのは、ルドルフのおかげだったろう
私にとっては「皇帝」ではなく、「師匠」というべき存在
シンボリルドルフ先生、安らかに