警察調査・税務調査と個人情報
2012 年 10 月 17 日 水曜日 投稿者:mituoka以前、私の事務所に突然、刑事さんがやってきました。
「Aさんをご存じですね?」
当時、私はAさんから依頼を受けて、Aさんの債務整理の任に当たっていました。
そのAさんが、ある凶悪事件の捜査対象人物となっているらしいのです。(それは、私がAさんから依頼されていた債務整理事件とは、まったく無関係に思われました)
「先生が保管しているAさんに関係する書類一式を提出してもらいたい」
捜査関係事項照会書なるものを突き付けられましたが、
「提出できません」と断りました。
「普通、こういう場合は皆さん協力してくれますよ!」
刑事さんは力んでおられましたが、それでも私は拒否しました。
個人情報保護法の第23条によれば、警察・税務署のような公的機関から要請があったときでも、本人(Aさん)の承諾を得ることなしに情報を提供してはいけません。
同条1項4号には、例外規定が設けられておりますが、あくまで原則は、情報を提供してはいけません。
こんなことを税務署のかたがおっしゃっていました。
「金融機関なんてどこでも、うちが特定個人の預金情報等の照会を求めれば、無条件にそれに応じてくれますよ」
驚きです。由々しきことです。
税務署のかたも、それが当然だと言わんばかりでしたが、まったくの間違いです。
なんのための個人情報保護法でしょうか?
法を守れない金融機関に、自分の大事なお金を託すことはできません。
(お上に弱い、金融機関のお偉いさんたちはきっと巨人ファンです。私は大の「巨人嫌い」ですが)
一方、司法書士法の第24条にはこう規定されています。
【業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない】
いわゆる「守秘義務」というやつです。例外規定が定められていない以上、いかなる場合においても「他に漏らしてはならない」。
これに背くと、刑罰(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が課せられます。
依頼人は私に、ご家族や友人・恋人にも打ち明けられないような内容の話を勇気を振り絞って聞かせてくれる。
たとえ警察や税務署が相手でも、「守秘義務」は徹底的に遵守すべきです。
結局、Aさんは凶悪事件に無関係だったそうです。
後日、刑事さんは菓子折を持ってきてくれました。
「大変申し訳ありませんでした」 と。
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