過払い金認容は「司法ファッショ」?

2010 年 6 月 20 日 日曜日 投稿者:mituoka

 利息制限法の上限(年15~20%)と、出資法の上限(年29・2%)の間の「グレーゾーン金利」で支払った利息を「過払い金」として返還するよう貸金業者に命じる判決が2005年の最高裁判決以降全国で急増したことについて、神戸地裁社(やしろ)支部の山本善平裁判官が、担当した返還訴訟判決の中で「異常事態」「司法ファッショ」などと批判していたことがわかった。
 原告の兵庫県内の女性は、大手消費者金融会社(東京)との間で、借り入れと返済を繰り返していたが、金利がグレーゾーンと知り、過払い金235万円の返還と利息5%の支払いを求めて昨年9月に提訴した。
 貸金業界では、貸金業法のみなし弁済規定を根拠に、グレーゾーン金利で営業して利益を得ていた業者が少なくなかったが、最高裁は2005年12月~06年1月、この規定の適用条件を厳格にとらえる判決を相次いで言い渡した。07年7月には、規定が適用されないのを知りながら高い金利を取った業者に、利息をつけて過払い金を返すようにも命じ、全国の地裁で同様の判決が相次いだ。
 山本裁判官は3月にあった判決で、過払い金の一部118万円の返還を認めたものの、利息の請求については「被告のような大手が要件を順守してみなし弁済の適用を目指したのは当然」として棄却した。
 その上で最近の傾向に言及し、「下級審が(最高裁判決に)いささか過剰に反応している」と指摘。「法律がみなし弁済の可能性を容認しているのに、司法が極端に要件を厳格に設定して、(みなし弁済規定を)事実上葬り去るのは異常事態で、司法ファッショと批判されかねない」と述べた。
 女性は判決を不服として大阪高裁に控訴した。
 貸金業法は18日に改正施行され、グレーゾーン自体が違法となる。
(6月17日読売新聞より)

 他の新聞での報道によると、控訴審で和解したとか。どんな内容の和解だったかは不明。

 話は変わるが、私が債務整理を担当した30代男性は、7~8年前に、今でもテレビCMでおなじみの大手消費者金融から、暴力的な取り立てを受けていた。襟首を掴まれ振り回され、シャツが破けたことあったし、顔面を殴られたこともあったという。

 各社がATMなどのハード面をみなし弁済の要件に沿うように改良を重ね努力していたとしても、そんな状況での支払いに「任意性」など認められないし、消費者金融を「善意の受益者」と断じることは不可能。

 個々の状況にもよるだろうが、一律に「司法ファッショ」と決めつけることこそが、「司法ファッショ」だ。

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