ジューダ

2013 年 8 月 5 日 月曜日 投稿者:mituoka

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被災地相談で福島県相馬市へ。

空き時間、市役所の職員さんに訊いてみた。

野馬追(※)が先週開催されたばかりですよね。このあたりも馬が通るんですか?」

えぇ、すぐ近くの中村神社から出発するんですよ。神社には普段から野馬追で活躍する馬たちがいますよ

 

いてもたってもいられなくなって、すぐに中村神社へ向かった。

 

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相馬野馬追(そうまのまおい)は、中村を初めとする福島県浜通北部で行われる、馬を追う神事および祭りである。神事に関しては国の重要無形民俗文化財に指定されている。東北地方の夏祭りのさきがけと見なされ、東北六大祭りの1つとして紹介される場合もある(ウィキペディアより)

 

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中村神社の厩舎には10数頭のサラブレッドが在籍していた。

どの馬も体がゲッソリしているように見える。

そして、ちょっとイラ立っていた。

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暑さの中で大役を務め終えたばかりなのだから仕方ない。

体力的にも精神的にもハードだったはずだ。

まずはのんびりと静養してほしい。

 

以下に、そのうちの2頭を紹介する。

バシケーン

バシケーン

バシケーン(写真上下)

平成22年の中山大障害を優勝した強豪。

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バシケーンの父は、平成9年の有馬記念勝ったシルクジャスティス。

先ごろ種牡馬を引退した父が送りだした唯一のG1ウィナーである。

 

ジューダ

ジューダ

そして、ジューダ

ここでジューダに会えるとは思ってもいなかったので驚いた。

 

父は名種牡馬キングカメハメハ。母は3冠馬スティルインラヴ。

これでもか!というぐらいの超良血馬だ。

 

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第1子となるジューダを産んだ数ヵ月後に、母スティルインラヴは急逝する。

つまり、ジューダは彼女の唯一の忘れ形見なのである。

 

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かくなるうえは、この子にたくさんのビッグレースを制してもらい、いつかは種牡馬として後世にその貴重な血を残してもらいたい・・・。

ジューダの背負った十字架は、あまりに重かった。

彼の生涯成績(地方競馬で2勝)はなかなか立派だったが、多くの関係者・ファン(私も含めて)が抱いた当初の期待に比せば、「不十分」と言わざるを得ない。

 

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まだ去勢されていない様子だが、種牡馬として競争界にカムバックすることなど夢物語。

血を残すことはできないが、今度は、重い甲冑と、1000年近くも続く伝統芸能を後世に伝える使命を背負った。

 

ジューダとはヘブライ語で「神に称賛される者」を意味するらしい。

神事に従事するこの生活こそが、むしろ天命か。

 

ジューダよ、何を思う。

 

とりあえずは元気で。

また会おう。

 

別れの挨拶をしてもまだ、彼は鉄柵をぐっと噛みしめていた。

 

 

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