ショウワモダン快勝 いまだに健在 テスコボーイの血

2010 年 6 月 7 日 月曜日 投稿者:mituoka

 安田記念。ショウワモダンが激戦を制し、見事にG1初勝利。

 父エアジハードに続く父子制覇も偉業だが、改めて驚くのは、ショウワモダン~エアジハード~サクラユタカオー~テスコボーイと遡る血の優秀さだ。

 テスコボーイは昭和43年にイギリスから輸入された。ご存じのとおり、トウショウボーイを始めキタノカチドキ、サクラユタカオーら名馬を次々と輩出し、1960年後半~80年代半ばにかけて日本競馬界をリードした大種牡馬。直仔サクラユタカオーが繋いだテスコボーイの血はいまだに健在である。

 その昔、テスコボーイ以外にも、やはりヨーロッパから輸入された種牡馬たち(ヒンドスタン、ノーザンテーストら)が一時代を築いたこともあった。

 ヒンドスタンはその仔シンザンからミホシンザンという名馬が現れたが、それを引き継いだマイシンザンは後継を出せずにすでに種牡馬を引退。

 ノーザンテーストは、アンバーシャダイという素晴らしい後継が出現し、その後メジロライアン~メジロブライトに引き継がれ、父系継続に希望を残した。

 しかし、メジロブライトは無念の急逝。ブライトの数少ない産駒の中からマキハタサイボーグという重賞勝ち馬が出たが、マキハタサイボーグは残念ながら去勢済み。また、ブライトの仔にはメジロスカイレイという素質馬もいたがスカイレイは志半ばで引退し乗馬になった模様。

 あれだけ隆盛を極めたヒンドスタン系もノーザンテースト系も、父系としては事実上消滅してしまった。日本というのはなかなか父系が繋がらない国である。

 しかし、テスコボーイだけは違う。最も期待された後継種牡馬である「天馬」トウショウボーイの系統こそ、ミスターシービー以後に消滅したが、サクラユタカオーはサクラバクシンオーとエアジハードを輩出。この2頭は今も種牡馬として活躍中。
 
 そしてサクラバクシンオーが出した快速馬ショウナンカンプはすでに種牡馬入りしている。受胎率に問題があり、ショウナンカンプ産駒の登録数は少ないが、早くもショウナンカザン(※)やショウナンカッサイらの活躍馬を出している。

ちなみにショウナンカザンの母マイダイナマイトは、ダイナマイトダディの仔。ダイナマイトダディの父はサクラユタカオー。つまり、ショウナンカザンは父系も母系も4代前に遡ればテスコボーイに辿りつく。

 ショウナンカンプはショウワモダンと同様テスコボーイの4代目。ショウワモダンもいずれは種牡馬となるはずで、彼らの仔は、テスコボーイの5代目にあたる。

 なお、彼らの系統がプリンスリーギフト系と総称されることも多い。ダビスタではそうなっている(笑)。プリンスリーギフトはテスコボーイの父。たしかに、同じくプリンスリーギフトを父に持つファバージやバーバー、ボイズィーボーイらは成功を収めたが後継に恵まれなかった。したがって、日本に根付いたのは、プリンスリーギフト系ではなく、「テスコボーイ系」だ。
 
 日本競馬史において、これだけ長く父系として繁栄した血統はないが、テスコボーイが生き残ったのは何も偶然でも、奇跡でもない。

 NHKマイルに続き昨日の安田記念の勝ちタイムも1分31秒台だったし、条件戦でも1分32秒台の掲示を見るほど、スピード偏重に拍車がかかる最近の日本競馬。
 
 かつてサクラユタカオー・バクシンオー親仔がレコードタイムを連発したことに象徴されるテスコボーイ系最大の特徴である「持続する軽快なスピード」が、現代ほど求められる時代はないのだ。

 昭和の血が今なおモダン。そうか、だからショウワモダン、なのか。

 

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