Aさんから依頼された過払い請求訴訟(被告はCFJ)について取り上げる
(1)取引の概要
CFJから取り寄せた取引履歴から以下の事実が判明
①平成12年2月、AさんはCFJ合同会社とカード契約をし、50万円を借り入れた
②平成13年9月に完済 (以上、第1取引)
③平成14年1月に20万円を借入れ再び取引が開始する
④平成20年10月に完済 (以上、第2取引)
当初、裁判の争点としては、いわゆる「分断」の問題だけだと思っていた
(2)被告の反論
提訴後まもなく、CFJから答弁書が届く
それによると、平成16年、CFJはAさんに対して貸金返還請求訴訟を起こし、両者は裁判上で和解していた
CFJが証拠として提出した同年12月の「口頭弁論調書(和解)」を見ると、
AさんはCFJに対し約67万円(元金が約57万円、遅延損害金が約10万円)の債務があることを認め、それを毎月1万5千円ずつの分割払いで返済していく旨の和解が締結されている (Aさんは約定通りの返済を上記④で終えた)
そして、最終条項として
「原告と被告には、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する」 とある
いわゆる「清算条項」だ
これに従えば、AさんはCFJに対して何らの請求権(もちろん過払い請求権も含む)を有しないことになる
当然ながら答弁書においてCFJは、この清算条項を盾に、過払い金は消滅したと主張
また、Aさんに確認したところ、この和解はAさんが自ら裁判所に出廷の上、締結されたものであることが判明した
(3)当方の見解
当方作成の引き直し計算書(一連)によれば、平成16年12月和解時点での残債は元金約31万円で、調書にある「元金57万円」とは大きな開きがある
つまり、先の和解の席においては、平成13年9月完済時に発生した過払い金を無視して引き直し計算していたことがわかる
明らかに第2取引だけについての和解だ
したがって、仮に「分断」と認定されようとも、第1取引に関して発生した過払い金返還請求権は消滅していないと言えよう
(4)これからの展開
とはいえ、なにせ「清算条項」があるので、話は簡単ではない
どうしてこんな和解を裁判所が認めてしまったのだろうか?
平成16年当時は「過払い金」の認知度が高くなかったのでAさん本人はもちろん、和解に関わった司法委員もその後に起こり得る紛争について細心の注意を払っていなかったと思われる
加えて、CFJが貸金返還請求訴訟を提起した際に裁判所に証拠として提出した取引履歴が第2取引開始時からのものだった可能性が高く、したがって裁判官や司法委員は第1取引の存在すら気付かなかったのかもしれない(Aさんの訴訟代理人として司法書士・弁護士が付いていれば当然過払い債権が存在する旨の抗弁ができただろうが・・)
今後の弁論において、「過払い金については和解の内容に含まれていなかったこと」 又は「清算条項に関する部分が錯誤無効であったこと」を主張していく考えだ
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