2010 年 8 月 のアーカイブ

久しぶりの二日酔い

2010 年 8 月 13 日 金曜日 投稿者:mituoka

 昨夜は旧友と飲みに出かけた

 奴と会うのは実に6年ぶり

 最近にしては珍しく残業なし!約束の時間に事務所を出発

 6年の間に、彼は大きく成長し「成り上がった」

 バブル期を思い起こさせる彼の話を聞いていると、こちらも気分が明るくなる

 私もあやかりたいものだ

 2次会のカラオケでは二人で熱唱し、大いに盛り上がる♪

 彼から明日への活力をもらったはずだった

 しかし、朝から二日酔い・・・

 かつて、うちの事務所に税務調査が入ったことがある

 調査官が
 「この事務所は、飲食費がまったく経費に計上されていないので驚きました」
 
 と呆れていた(?)ほど、滅多に飲みに出掛けない私なので、昨夜のアルコールは応えた・・・(と言っても、ビール2杯と日本酒を御猪口で数杯飲んだだけだが)

 頭痛薬を飲んで、今日は頑張ろう!

若い傍聴人

2010 年 8 月 12 日 木曜日 投稿者:mituoka

 午前10時から、私が原告代理人を務める裁判が8件

 そのうち1件は滞納家賃請求事件、それ以外は過払い金返還請求事件

 滞納家賃請求事件は、今日が2回目の口頭弁論

 被告2人(借主と連帯保証人)は出廷してきた

 彼らに代理人(弁護士又は司法書士)は就いていない

 1回目の弁論において、裁判官は被告に対し「7月20日までに反論の書類を提出してください」と告げたのだが、何の提出もない

 白旗を上げたのかと思っていた

 しかし、被告は今日の法廷でも争う姿勢を崩さない
 
 提出期限を守らず、和解のテーブルにつこうともしないのだから、即結審、となってもおかしくないが、被告はいわば「素人」、スムーズな訴訟進行を望むのは酷かもしれない

 裁判官の温情により、来月、3回目の弁論期日が開かれることになった

 他の事件(過払い請求事件)は「和解に代わる決定」での決着が5件、続行期日が2件

 話は変わるが、今朝、裁判所に向かっていると、正門の少し手前で、中学生とおぼしき利発そうな男の子が
 「裁判所に行きたいんですけど、裁判所はどこですか?」と訊いてきた

 ここが入口だよ、でも、君はどうして裁判所に行くの?
 
 「裁判を傍聴してみようかと思って」と言う

 入ったらすぐに受付があるから、そこで裁判日程を聞いてみるといいよ(^^)

 夏休みを利用して一人で裁判の傍聴に来るなんて凄い子だなぁ と感心した

  傍聴する際の基本である正装(学生服)も、抜かりはない

  中学生は最後に
 「ありがとうございました!」と、張り切って裁判所に入って行った

 彼の晴れやかな笑顔が、豪雨を吹き飛ばしてくれるような気がした

激闘の記憶 オグリキャップ

2010 年 8 月 10 日 火曜日 投稿者:mituoka

 グリーンチャンネルで放送された「激闘の記憶 オグリキャップ」を見た

 レースシーンが中心の番組構成だったが、高松宮杯を勝った時の河内ジョッキーのインタビューなど、初めて見る映像も少し含まれていて、それなりに楽しめた

 何度見ても、オグリキャップのレースは鳥肌が立つほど劇的で感動的

 特に、中央入りして無敵の快進撃を続けていくレースの数々を見ていると、

 この馬が負けることなど想像できない、この先シンボリルドルフの偉業にどこまで迫るか、いや、いつ追い越すのか と期待していたあの頃の胸のときめきを思い出す

 ナリタブライアンやディープインパクトさえ、あれほどまでのワクワク感は与えてくれなかった

 結局のところオグリキャップは、ルドルフには全然及ばなかったとも言えるし、ルドルフを大きく追い越したとも言えよう

 しかしそんなことはどうでもいい

 あの生気みなぎるオグリキャップが逝ったなんて、今でも信じられない

 さて、話はテレビ番組「激闘の記憶」に戻るが、私としては、先月行われた「お別れ会」の模様を、もっと詳細に紹介してほしかったけど、仕方ないか・・・

 グリーンチャンネルとは別に、関西テレビでオグリの追悼番組が放送されたと聞くが、静岡では見る機会なし(泣)

 関西テレビさん、ぜひDVD化をお願いします!

高校野球の名勝負

2010 年 8 月 10 日 火曜日 投稿者:mituoka

 午前9時半から、S銀行某支店において、不動産売買の契約決済に立ち会った

 書類等の不備がないかを確認し、後は出入金の手続きを待つだけ

 この待ち時間、長いときには1時間以上を要するときもある

 売主・買主との会話が弾まないときは、ちょっと苦痛(苦笑)

 今日の買主さんは、大の高校野球ファンだった

 いつもお盆休みの頃に、甲子園まで観戦に行くらしい

 子供の頃からの熱烈な高校野球ファンでありながら、一度も甲子園に足を運んだことのない私にとっては羨ましい話だ

 買主さんが生で見てきた数ある名勝負のうち、印象に残っているものを2つ挙げてもらった

 まずは、昭和54年、箕島・星稜の延長18回の死闘

 9回裏と15回裏、絶対絶命のピンチから、飛び出した奇跡の同点ホームラン

 もうひとつは、平成4年、明徳・星稜の「松井秀樹4打席連続敬遠」

 怪物・松井は一度もバットを振らせてもらえなかった

 買主さんの話が終わるや否や、私は開口一番、

 「実はその2試合、偶然にも私の誕生日、8月16日に行われたんですよ
 
 と自慢してしまった(笑)

 8月16日は 「歴史的名勝負の日」 なのである

 死ぬ前に一度でいいから甲子園に行きたいなぁ

 さて、今年も連日、名勝負を見せてくれる甲子園

 猛暑に負けぬ球児たちのプレーから、たくさんの元気をもらっている

 勝っても負けても、栄冠は君たちに輝く

時効完成前に第三者弁済があっても消滅時効援用はできる

2010 年 8 月 6 日 金曜日 投稿者:mituoka

 Bさんは平成14年に大手消費者金融から借入をした

 しかし、Bさんはある事情から、その数カ月後に行方を消し、返済もまったく滞った

 消費者金融会社は、Bさんのご両親に対し、「息子さんの借金を支払ってもらいたい」と強く迫った

 ちなみにご両親はBさんの保証人ではない

 つまり、Bさんの代わりに債務を負う法的義務などない

 しかし、ご両親は、消費者金融の迫力に負け、平成16年3月から平成18年6月まで返済を続けた

 平成18年7月、息子さんの居所がわかったので、ご両親は息子さんにその後の返済を託したが、息子さんは今日まで一切返済をしていない

 さて、Bさん自身が最後に返済した日から、すでに8年以上が経過した

 Bさんは、「最後の返済から5年以上経過した場合は、債権の時効消滅を援用できる」と知ったが、一方、ご両親が最後に返済してからは4年しか経過していない点が不安になり、ご相談に見えた

 結論として、こうした場合でも、消滅時効の援用は可能である!

 知る限りでは、同様の判例はないが、平成7年2月14日東京高裁判決で、時効完成前に保証人が一部弁済をしていたとしても、これは主債務の時効中断事由とはならないし、特段の事情がない限り、このことによって時効援用権は制限されない、と判示されている

 今回のケースは、保証人による代位弁済ではなく、ご両親による「第三者弁済」

 保証人が支払っても消滅しない時効援用権が、第三者弁済をもって消滅するはずはない

 消滅時効援用を主張する内容証明を送れば、本件は解決する

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アイフルとの和解交渉(任意整理) 理不尽な言い分

2010 年 8 月 6 日 金曜日 投稿者:mituoka

 Aさんは、アイフルに対し、約31万円の債務を負っている(引き直し計算後の残高)

 アイフルへは、毎月約8,800円×36回という内容の分割返済和解を申し入れていた

 ご担当者から電話があり、最終返済日からの経過利息約55,000円を付加してくれないと和解できない、との回答

 支払い回数は最長でも36回までしか認めないらしいので、毎月の支払額は10,000円を超えることになる

 Aさんの経済状況から、それはとても苦しい

 私
 「Aさんの窮状を汲んでいただき、なんとか当方の和解案に近いものにしてもらえないですか?

 担当者(以下、担と省略)
 「過払い金の返還のため、本当なら将来利息もいただきたいぐらいです。無理です

 一向に減らない過払い金返還請求に備え、蓄えを増やしたいということらしい

 私
  「Aさんは破綻しますよ

 担
 「これからもみなさんに、満足な過払い金をお支払いしていく義務があるので

 私
 「これからも?満足な?ふざけないでください。過払い金の55%しか支払わないって、いつも主張しているじゃないですか

 過払い金返還においては、利息どころか、元金も満足に返還しようとしないアイフルが、債権者の立場になった途端、取って付けたような、嘘っぱちの正義感を振りかざす

 そして、アイフルのHPには「ご利用は計画的に」などと良心的な言葉が並ぶが、その実、借主の生活事情を一切考慮しない

 アイフルの将来がとても心配になってきた

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ある大手消費者会社との対話 高い保険料

2010 年 8 月 4 日 水曜日 投稿者:mituoka

A 「答弁書に書いたとおり、過払い金元金の55%の返還で和解してください

私 「無理です。その条件で和解するなら提訴なんかしませんでしたよ

A 「それもそうですよね。しかし、当社の窮状を申し上げますと・・

私 「それについては以前に何度も聞かされたので結構です

A 「過払い金の6割ではどうですか?

私 「申し訳ないが、6割でも無理です

A 「6割で和解いただき、4割は保険だと思っていただけないですか?

私 「どういう意味ですか?

A 「ここで和解なさらないと、裁判が長期化します。その間にうちが民事再生でも申し立てて倒産したら、6割はおろか、2割も1割も回収できないかもしれませんよ。早期に確実に回収できる保険をかけたと思っていただきたい

私 「なるほど、そういう意味ですか。でも、結論は変わりません。和解はできません

A 「今後、会社がどうなるか、私も将来の生活がとても不安な状態なんですよ

私 「同情します。しかし、こちらとしては、むしろ、民事再生を申立てください、と申し上げたいぐらいです。民事再生を申立てれば、東京地裁が許可した一律の返還率の支払いということになりますから、私も、ご依頼人も、納得します。任意の交渉において、5割や6割では普通納得するかたはいませんよ

A 「そうですか、おっしゃるとおりかもしれません。ちなみに、先生の感覚では、一般的にご依頼人さんたちは、過払い金の何割ぐらいであれば納得なさると思われますか?

私 「う~ん・・・そうですね、8割~9割以上であれば、納得されるかたも多いのではないでしょうか

以上は、昨日、A社ご担当者と電話で会話した内容です。
保険の掛け金として「4割」は高すぎます・・・。

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武富士に対する過払い訴訟 判決文紹介 「分断」を否定

2010 年 8 月 4 日 水曜日 投稿者:mituoka

 静岡地裁における武富士相手の過払い金返還請求訴訟の判決文を以下に紹介します。1年9カ月の空白期間がありましたが(第1と第2取引の間)、こちらの主張通り、「一連計算」が認められました第1回口頭弁論は本年6月28日、第2回は7月12日でした。なお、原告・被告の住所等、一部記載を省略しております。


平成22年8月2日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成22年(ワ)第676号 不当利得請求事件
口頭弁論終結日 平成22年7月12日

                     判   決
原告  〇△×
被告  ㈱武富士
                     主   文

1 被告は、原告に対し、357万1743円及び内300万7043円に対する平成22
 年1月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

                    事実及び理由
第1 請求
  主文同旨

第2 当事者の主張
1 請求原因
(1)当事者
 被告は貸金業者であり、原告は被告との間で金銭消費貸借取引(以下「本件取引」という。)をしていた者である。
(2)本件取引の概要
 ア 取引開始日 平成2年7月5日
 イ 取引終了日 平成22年1月29日
 ウ 取引の経過 別紙計算書のとおり
(3)引き直し計算及び不当利得
 本件取引は一連の計算であり、これにつき、利息制限法所定の法定利息を適用して計算すると、別紙計算書のとおり本件取引終了時において過払金元金が300万7043円となり、被告は、上記金額を法律上の原因なく取得している。
(4)悪意の受益者
 被告は貸金業者であり、本件取引につき貸金業法43条1項のみなし弁済の立証主張をしていないことからすれば、利息制限法を超過する利息を収受することにつき悪意であったといえるから、前記過払金が発生した段階でそれに対する利息が発生し、その利率は年5%である。
(5)まとめ
 よって、原告は被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金元金及び上記元金に対する平成22年1月30日から支払済みまでの利息の支払を求める。

2 請求原因に対する認否等
(1)請求原因(1)は認める。
(2)請求原因(2)は認めるが、後記のとおり一連であるとする点は争う。
(3)請求原因(3)は、本件取引が一連のものであるとする点につき、否認ないし争う。本件取引は、以下のとおり、第1取引と第2取引並びに第3取引に分けられる。
 (第1取引)平成2年7月5日~平成4年1月27日
 (第2取引)平成5年10月27日~平成13年1月5日
 (第3取引)平成13年4月11日~平成22年1月29日
(4)請求原因(4)は否認ないし争う。
 被告が貸金業法43条のみなし弁済の適用があるとの認識を有するに至ったことにつき、少なくとも平成18年1月13日以前の支払に関しては、やむを得なかったといえる「特段の事情」がある。
(5)請求原因(5)は争う。

3 抗弁(消滅時効)
(1)第1取引終了時から10年後の平成14年1月27日が経過した。
(2)被告は、平成22年6月28日の本件口頭弁論期日において、上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。

4 抗弁に対する認否
 被告の消滅時効の抗弁は、本件取引が3つに分かれるという前提であるところ、この前提は成立しない。よって否認ないし争う。

第3 当裁判所の判断
【請求原因に対する判断】
1 請求原因(1)は、当事者間に争いがない。
2 請求原因(2)は、本件取引の経過それ自体は当事者間に争いがない。
3 請求原因(3)について判断する。
 同一の貸主と借主との間で継続的に貸し付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが、過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間には他の債務が存在せず、その後に、両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には、第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り、第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は、第2基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である。そして、第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付毛までの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の取引に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した取引であると評価することができる場合には、上記合意が存在するものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、甲第1号証及び弁論の全趣旨によれば、第1取引の最終弁済が18万8929円、第2取引の最終弁済が75万1237円と多額の返済であること、第1取引と第2取引の間は約1年9か月、第2取引と第3取引の間は約3カ月であること、第1取引の期間が約1年6か月であること、第2取引の期間が約7年2カ月であること、第3取引の期間が約9年であること、各取引の間に基本契約の解約やカードの失効手続をしていないと認められることを考慮すると、事実上1個の連続した取引であると評価できる。
 よって、請求原因(3)については、利息制限法に基づく引き直し計算に当たっては一連のものと認められるから、請求原因(3)は認められる。

4 請求原因(4)について
 被告が利息制限法所定の制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、被告は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。
 ただし、上記利息制限法の制限を超過する約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約にもとで制限超過部分を支払った場合は、貸金業法43条1項にいう「任意に支払った」ものということはできないとした最高裁43条1項にいう「任意に支払った」ものということはできないとして最高裁平成18年1月13日判決(以下「平成18年判決」という。)の言渡以前にされた上記期限の利益喪失特約下の支払については、これを受領したことのみを理由として被告を悪意の受益者とすることはできないというべきである。
 そうしてみると、平成18年判決以前の本件取引については、上記「任意に支払った」という要件以外の、他の貸金業法43条1項の要件を充足するかを検討する必要があると解するところ、被告はこの点について、本件取引に関する具体的な主張立証をしていないこと(単に、その当時の一般的な業務態勢として同項の他の要件を充足する行為をしていたと主張するのみでは不十分である。)、ほかに同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があると認めるに足りる事情は認められないことからすれば、平成18年判決以前の本件取引についても、被告は民法704条の「悪意の受益者」となる。
 そして、民法704条前段所定の利息は、過払金発生時から発生すると解することが相当である。

5 請求原因に関するまとめ
 よって、請求原因はいずれも認められる。

【抗弁に対する判断】
 前記のとおり、本件取引は一連のものと認められるから、被告の消滅時効の主張は前提を欠き、認められるに足りない。

第4 結論
 以上から、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき民訴法61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

静岡地方裁判所民事第2部
~以下略~

島田簡易裁判所の駐車場について

2010 年 8 月 3 日 火曜日 投稿者:mituoka

 本日、午前10時から島田簡易裁判所(静岡県島田市中溝4-11-10)にて3件の過払い訴訟

 顔見知りの司法書士たちと談笑しながら開廷を待っていると、女性書記官から傍聴席に向かってお知らせがありました。

 「今月中旬から島田簡裁の駐車場において工事が始まるので、駐車できる台数が少なくなりますみなさん、なるべく公共の交通機関を使ってお越しください。」

 「なお、工事は年内いっぱいぐらい続く予定です」とのこと。

 みなさん、ご留意ください。

武富士の「取引の分断」主張に対する判決

2010 年 8 月 3 日 火曜日 投稿者:mituoka

〈取引の概要〉
 原告Aさんは、平成2年6月、被告・武富士と金銭消費貸借契約を締結し、15万円を借入れた。その後、借りたり返したりが続くも、平成7年12月18日に一旦完済。原告の記憶によれば、その際、カード返却や基本契約の解約等の事実はなかった。
 その約2ヶ月後の翌年2月に、カードを使い17万円を借入れ、再び取引が始まった。平成22年1月5日の最終取引(返済)時における約定の債務残高は約90万円だった。

〈訴訟の経緯〉
1.引き直し計算すると、過払い状態であることがわかり、Aさんは静岡地裁へ過払い金返還請求を提訴した。
2.武富士からは、みなし弁済、取引の分断、第一取引の過払い金の時効消滅、悪意の否定などの反論がなされた。
3.数か月に渡る口頭弁論を経て、今年7月26日、原告側の全面勝訴判決(283万0334円を支払え)が言渡された

 以下、「取引の分断」と「悪意の受益者」に関する同判決理由を一部抜粋する

〈判決から抜粋〉
取引の分断について判断
 同一の貸主と借主との間で継続的に貸し付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当された時点においては両者の間には他の債務が存在せず、その後に、両者の間で改めて金銭消費貸借契約に係る基本契約が締結され、この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には、第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り、第1の基本契約に係る過払金は、第2基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である。そして、第1の基本契約に基づく貸付及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付迄の期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、上記合意が存在するものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、第1取引の最終弁済が50万4939円と多額ではあるものの、第1取引と第2取引の間は約2か月であること、使用したカードは同一カードであること、第1取引と第2取引に契約条件の違いは見受けられないことが認められる。
 よって、請求原因(3)については、本件取引は基本契約は複数ではあるものの、利息制限法に基づく引き直し計算にあたっては一連のものと認められるから、請求原因(3)は認められる。

悪意の受益者について
 被告が利息制限法所定の制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、被告は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。
 ただし、上記利息制限法の制限を超過する約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約にもとで制限超過部分を支払った場合は、貸金業法43条1項にいう「任意に支払った」ものということはできないとした最高裁43条1項にいう「任意に支払った」ものということはできないとして最高裁平成18年1月13日判決(以下「平成18年判決」という。)の言渡以前にされた上記期限の利益喪失特約下の支払については、これを受領したことのみを理由として被告を悪意の受益者とすることはできないというべきである。
 そうしてみると、平成18年判決以前の本件取引については、上記「任意に支払った」という要件以外の、他の貸金業法43条1項の要件を充足するかを検討する必要があると解するところ、被告はこの点について、本件取引に関する具体的な主張立証をしていないこと(単に、その当時の一般的な業務態勢として同項の他の要件を充足する行為をしていたと主張するのみでは不十分である。)、ほかに同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があると認めるに足りる事情は認められないことからすれば、平成18年判決以前の本件取引についても、被告は民法704条の「悪意の受益者」となる。
 そして、民法704条前段所定の利息は、過払金発生時から発生すると解することが相当である。

(私の感想)
 この判決は、全面勝訴ではあるが、判決理由についてはいまひとつ納得いかない点がある。
 原告は準備書面において、「本件取引については、途中、基本契約が解約された事実はなく、平成8年2月23日の貸付は単なる貸し増しにすぎないので、一連の取引であることは疑いの余地がない」旨の主張をした。しかし判決は、「基本契約は2つ存在した」と判断している。本件においては、それを証明する契約書等が武富士から証拠として提出されたわけではないのだから、当方の主張した理由を取り上げて欲しかった。あるいは、少なくとも「第2の契約は変更契約に過ぎなかった」と言ってもらいたかった。なぜなら、もしも、第1取引の期間がもっと短く、第2取引開始までの期間がもっと長かったら、「分断」と判断されてしまう余地があったことになる。また、基本契約の解約がなかったことの立証責任を原告に負わせることにもなりかねない。「なかった」という消極的な証明は困難を極める。 
 武富士の主張した「みなし弁済」について、本判決は一切触れていない。論ずるに足らず、ということだろう。この点についてはまったく文句なしだ。

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