「おい、お前!いまどこにいるんだ?」
父から電話があった
「事務所にいるけど、どうした?」
「どうしたって・・・お前、本当にお金が必要なのか?」
「は?」
今から書くことは、嘘のような本当の話である
3日前から昨日にかけ、私の実家に
「日興コーディアル証券の村岡」と名乗る人物から何度か電話が入った
「息子さんはいますか?」 (村岡なる人物)
「博のことですか?陽のことですか?」
「陽さんです」
「陽はいませんが、どんなご用件ですか?」
「それでは結構です」
何度も同じ内容の電話が入ったという
そして昨日、「陽」を語る人物(つまり私になりすました人物)から
「陽だけど、大学時代の友人の村岡っていう奴から電話がかかってきたかな・・・」
「村岡さんからは何度か電話が入ってるけど、何なの?」 (母)
「そうか、それならいいよ。ところで俺、最近風邪をひいちゃって喉の調子が悪いんだよ」
「風邪薬を飲んだほうがいいよ」
数分の雑談後、「陽」は電話を切った
母はこの電話を、私からのものだと信じて疑わなかった
そして、本日の昼、再び「陽」から実家に連絡があった
「いま東京にいるんだが、実は、村岡の営業成績を上げるために500万円を村岡に預けた。株取り引きで250万円の利益を上げて、昨日解約手続を取った。来週に利益分も合わせて750万円が返ってくるが、実は、最初の500万円は村岡個人から借りたものだった。村岡の奥さんがそれに気付いて、いますぐ返せと言っている。村岡の奥さんは弁護士なので、言われたとおりにしないと厄介なことになる。お母さん、困ったよぉ・・・。500万を貸してくれないか?貸してくれないんなら、サラ金かヤミ金から借りるしかない。来週には返すから」
母はすっかり騙されてしまい、
「なんでそんな取引に手を出すのぉ・・・わかった。でも、そんな大金、手元にない。なんとかお金をかき集めてから振込む。口座を教えて!」
親戚や知り合いからお金を借りてでも、500万を用意しようとでも思ったのだろうか・・・
「いまから静岡へ取りに行くよ」
「その村岡って人の奥さんの口座を教えて。すぐに振り込んだほうがいいでしょう!」
「でも、振込むと、銀行に人に振り込め詐欺だと疑われる。だから、いますぐ他の男に取りにいかせるから」
ここで、ちょうど実家にいた父に電話を変わった
さすがにおかしいと思った父から、
冒頭に記した内容の電話が私(本物の陽)のもとに入った次第である
しかし、父も半分は、「陽」の話を信じていたようである
父も母も、「声がお前にソックリだった」と言っている
ソックリなわけないと思うが、こうした場合には気が動転してしまい、
自分の息子の声かどうかを認識することさえできなくなってしまうのだろう
親心を利用した、卑劣な犯罪行為だ!
もちろん、村岡という友人は存在しない
日興コーディアル証券とも取引はない
数日前から、「村岡」と「陽」がタッグを組んで、
用意周到に電話を入れていた手口はとても巧妙である
その後、警察に連絡してみたところ、この手の詐欺が増えているらしい
まだまだ被害の絶えない電話を使った詐欺
こうした電話がかかってきたら、みなさん、まずは一度電話を切ってください
冷静になってください
自分の息子(娘)に連絡を取って真偽のほどを確認してください
築き上げてきた大切な財産を、卑劣な犯罪集団に渡してはいけません
まさか、身近なところにこんな電話がかかってくるとは・・・
まったく驚きましたが、
危険は、すぐそこに潜んでいることがわかりました
それから、最後に
悪党ども、いい加減にしろ!
(警視庁関連ページ)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/koreisagi/hurikome_onsei/hurikomesagi.htm