今日から確定申告の受付開始。
ということで、珍しく税金に関することを書きます。
ただし、税金は税金でも、「馬」に関する税制について。
ここで検討してみたいのは、
競走馬保有にかかる所得が「事業所得」にあたるか?・・・です。
つまり、馬主のかたがたにとっての優遇税制についてです。
事業所得として認められれば、他の所得との損益通算が可能になりますので、節税効果は大きいはずです。
(最近、競馬予想家のハズレ馬券購入費が経費として認められるかが裁判で争われておりますが、それとはちと違うケースです)
調べたところ、事業所得として認められるケースは現在、以下の3つだけです。
(細かいことは省いて、ものすごくザックリと書きます)
(1) 競走馬を5頭以上保有している馬主
(2) 次のイ及びロの事実のいずれにも該当する馬主
イ.2頭以上保有している。
ロ.ここ数年のうちに、「黒字」だった年がある。
(3)ここ数年間のうち、年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬を保有したことがある馬主
(1)は要するに、5頭以上を持っていればいい。
これは単純明快な基準。
5頭も持っていれば結構稼げるでしょう、「事業」としてしっかりやっているんでしょう、という税務署の判断です。
大富豪であれば5頭といわず、何十頭も持っています。彼らにとっては簡単な条件です(泣)。
(2)はちょっと不明確に思えますが、平たく言えば、「2頭しか持っていなくてもある程度採算が取れていりゃ事業所得としてもいいよ」ということでしょう。
しかし、走るのは馬。馬主がいくら努力しても、赤字になることのほうが多いはず。
つまり、(2)の要件を満たすのは、強運の持ち主でしかあり得ません。
そこで、(1)(2)の救済策として、(3)の要件が加えられました。
1年に5レース以上出走する馬を持っているならば、なんとか採算が取れる蓋然性が高まる、ということでしょう。レースに参加できないほど虚弱な馬や、ケガをしてしまっている馬は賞金を稼ぐことなど不可能ですから。
これには頭数制限がありませんので、1頭しか持っていない零細馬主(?)でも、適用を受ける可能性があるわけです。
でも、(3)には落とし穴があります。
ここでいう競争馬とは「単独所有の馬」だけで、「共有馬」は除外されているのです。
共有馬主制度について書きますと、まず、共有馬主は、いわゆる 『一口馬主』 とは違います。正式に馬主資格を有していることが大前提となります。
さて、馬を保有し続けるには、JRA(中央競馬)においては1頭につき約70万円/月、NAR(地方競馬)で約35万円/月という高額な預託料が必要です。
馬を管理し、調教をしてくれる調教師さんに対して実費と謝礼を支払うのです。
その負担を軽減するために共有制度が誕生しました。JRAならば最大10人、NARならば最大20人で馬を共有できます。(本来、所有権などの財産権は何人で分割しようと構わないのですが、競馬会の事務処理の便宜をはかるために人数制限がされているのでしょう)
つまり、長引く不況下において広く馬主を募り、少しでも多くの競走馬を確保しようという競馬会の方針なのですが、上記(3)が共有馬主に適用されないのならば、まさに絵に描いた餅でしかなく、競走馬を確保することはますます難しくなるでしょう。
結論として、大富豪か強運の持ち主以外は事業用所得として認めてもらえない、のです。
でも、そういう人たちこそ、税務上の優遇なんて不要じゃないでしょうか。
今回は馬主制度をめぐる税制を通して、ますます広がっていく格差社会をのぞくことができました。
な~んて、いささか大袈裟ですね。
平凡な小市民による嘆き節に過ぎないかもしれません。
無料電話相談フリーダイヤル ☎ 0120-714-316
登記費用無料見積り ・債務整理 ・過払い請求の【司法書士法人 静岡】