コラム
過払い金とブラックリスト(借金問題関連)
2008/05/29
ブラックリスト、なんとも耳障りの悪い言葉だ。ブラックリストというものは現実には存在しない。
司法書士・弁護士に債務整理を依頼すると、金融機関(消費者金融会社・サラ金業者等)が設置している信用情報機関にその旨が登録される可能性がある。一般的には5年~7年前後が登録期間と言われるが、債務整理を依頼したという情報が登録されると、債務整理の対象外の会社からも新たな借入れができなくなったり、カードによるショッピングができなくなる恐れもある。このような状態を、世間では「ブラックリストに登録された」と言う。
完済して過払い金を取り戻すために債務整理をする場合でも、ブラック登録される可能性があることをみなさんご存知だろうか。支払い不能に陥った結果法律家が介入したのならまだしも、キレイに完済したのにブッラク登録されるとは・・・。完済した会社に対し過払い金返還請求をするとき、私はその都度「ブラック登録はしないでくれ」と申し入れている。先日ある大手サラ金会社からその申し入れに対する回答書が届いた。以下のとおりである。
~ 司法書士 三岡 陽 殿
ご回答
(中略)
先生より頂戴しております通知書面の文中に、信用情報機関への情報登録についてご意見頂いております。
弊社といたしましては、信用情報機関は消費者信用の健全な発展に資するため、いわゆる多重債務発生の防止等、公共的役割を担っており、同機関が収集・提供する信用情報についても、同様であることから、当該信用情報には、客観性・公共性等が求められるものと認識しております。
今回○×氏に関する信用情報機関への情報登録については、前述の認識及び同機関との規約に基づき、適切に対応させていただきます。
(以下略) ~
みなさん、意味をご理解いただけたであろうか?この回答書、何を言いたいのか、私にはよくわからない。最後の「適切に対応させていただきます」とは「ブラック登録します」の意味なのであろうが、それ以外はチンプンカンプンだ。
「多重債務発生の防止」のために登録するそうだが、新たな借入れを申し入れたのならともなく、自分の財産である過払い金を取り戻そうという行為のどこに多重債務を生む危険性が存在するのか?過払い金が戻ってくれば依頼者の生活は潤い、多重債務発生の可能性はむしろ減少するはず。
「公共的役割」とか「公共性」のためともある。何度も言うが過払い金は依頼者の財産であり、サラ金会社にとってそれを返還するのは当然の義務だ。過払い金を回収するたびにブラック登録されていたら、依頼者たちは過払い金を取り戻すことに躊躇する。過払い金返還請求権という権利に対する「嫌がらせ」としか思えず、憲法が保証する生活権、財産権の自由に対する挑戦だ。むしろ「公共性」に反しているではないか。
こんな回答では到底引き下がることはできない。これからもブラック登録回避のための「お願い」は続けていきます。