コラム
経済学から考察する消費者金融規制の課題
2008/07/18
私は経済学部に籍を置いたことがあるので今日は経済学的見地から改正貸金業法の課題を語りたいと思う・・というのは真っ赤な嘘で(経済学部に籍を置いたことだけは真実ですが)、本日付日本経済新聞の「経済教室」に掲載された大阪大学教授・筒井義郎氏の論稿「消費者金融業規制、残された課題」を読んでの感想を書いてみようと思います。
なかなか難しい文章で、経済学の専門用語らしき単語が頻発し、前半の部分はまるで意味不明であったが、読み進めていくうちに筒井氏のおっしゃりたいことの大半はようやく理解できたつもり。
結論は、消費者金融業界にも競争原理を働かせることが必要だ、ということらしい。「競争」というと、たとえば商店などでは価格引下げ競争ということになろうが、消費者金融業の場合は「金利の引き下げ競争」である。ただ単に法律を改正して一律に金利の上限を引き下げればいいというものではない。また、返済能力等の違いにより、本来は借り手それぞれに適正な金利が存在するはずだが一律の金利が課されている不合理を説く。その是正には信用情報の共有が必要である。過去の返済状況、借入れ状況等の把握が借り手に合った金利設定には不可欠だ。つまり、信用情報機関制度の活用が各社の競争を呼び、健全な金利と健全な消費者金融業界を生むという。
私たち法律実務家が持っていない視点からの考察、とても興味深いものでした。過去のこの「コラム」でも何度か触れましたが、競争原理の大切さは様々な場面において私も痛感しているところです。「神の見えざる手」による規制も必要でしょう。
ただ、借り手それぞれに独自の金利を設定するという煩雑な作業が各社において可能であるのか、そして過去の返済状況を把握したとしてもそれは現在の借り手の生活状況・返済能力に必ずしも合致するとはいえないのではないか、等の疑問も感じました。しかし、様々な角度から消費者問題を検討することはとても大事なことでありましょう。