コラム
民間のあきれた「お役所仕事」 ~慰謝料請求事件~ (無料相談対応)
2008/07/25
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ある女性の依頼で大手カーディーラーへ慰謝料の請求をしました。慰謝料とは精神的苦痛を与えた際に支払う代償。まずはこの事件の概要をお話します。
昨年暮れ、依頼人はディーラーにて新車を購入。数ヶ月後、車内がカビ臭いことに気づく。6月の梅雨時期になると車内は水浸しの状態になった。ディーラーに車を持ちこんだところ、カーナビとバック・ヴューモニターの装着工事に不備があり、そのため外から水が浸み込んでいたことが判明。すでに車内のカビ臭さは手に負えない状態であったため、新たな車との交換を求めたがディーラーは応じない。店長には反省の色さえない。何度かの話し合いの末、ディーラーが車を買い戻すことで一応の決着を見たがそれでも謝罪の言葉はまったくない。そこで私に依頼をした、といったところです。
裁判においても慰謝料が認められるケースは少ないですが、とりあえず僅かばかりの慰謝料を請求。2度に渡り交渉の場を持ちました。1度目は店長、ラチが開かないので2度目には副社長と交渉しましたが、あきれた発言が続きます。
「当社の作業ミスなのか、あるいは製造メーカーの過失による該当部品の潜在的な欠陥が原因か、それがはっきりしないので結論を出せない」
「お客さんも運が悪かったが、当社も運が悪かった」等々・・・・
一生に数度しかない新車購入において(依頼人にとっては生まれてはじめての新車購入でした)、通常では考えられない欠陥商品をつかまされた不運と悲しみと怒りはとても大きなものであることを理解していない。「うちも運が悪かった」などとよく言えたものです。
また、ディーラーの責任かメーカーの責任か、はあちらの内部の問題でこちらにはまったく関係ない。依頼人に欠陥商品を売りつけたのはメーカーではなくこのディーラーに間違いないのです。罪の擦り付け合いはまるで「お役所」の所作。情けない話です。
ディーラーのだらしなさとは対照的に、私の依頼人は堂々と、そして感情を押し殺し理路整然と、自分の悲しみと怒りの大きさ、その正当性を述べた。この交渉に臨む前、「法的なやり取りは私に任せていただくが、ご自分の口から感情を吐き出したほうがいい」とアドバイスしていたのですが、依頼人の言葉は説得力に満ち溢れていました。
最後には自分たちの非を認め、副社長と店長は「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。はじめからそうしていればお互い嫌な思いをしなくてよかったのに。クレーム処理に失敗すればとんでもないことになりかねない、と肝に命じるべきです。
依頼人は交渉からの帰り道、「それでも気が晴れない」とおっしゃっていました。