コラム
貧困問題と法律家
2008/07/07
一昨日、県司法書士会館において弁護士の森川清氏を講師に迎え「貧困問題と法律家の役割」について研修会が開かれました。
「貧困」が社会問題となっているその直接的要因は、不況そして非正規雇用(派遣労働)の拡大にあると森川弁護士は言う。特に非正規雇用労働者はその性質上、正規労働者と比べ国家による社会保障に頼らざるを得ないところが多いが、その社会保障自体も年々貧弱化しているため問題は深刻化していると指摘する。
社会保証の中でも特に生活保護制度について、受給手続きに関して違法な門前払いや中途打ち切りが目立つという。森川清弁護士が事務局長を務める「首都圏生活保護支援法律家ネットワーク」は、昨年4月に首都圏の弁護士・司法書士を中心に結成された。現在は法律家202名(弁護士96名、司法書士106名)、実務家(支援者)15名によって構成されている。森川氏は、生活困窮者の生活保護受給申請等に法律家が同行することの重要性を説く。生活保護を不正に打ち切られ、命を落とした被害者たちの実話も紹介された。
森川氏は福祉事務所のケースワーカーとして長年に渡り活躍していた。しかし、違う側面から生活保護制度を支えたいとの思いから弁護士になることを志し、ケースワーカーとして働きながら勉強を続け司法試験に合格したという。その責任感と意志の強さには敬服するばかり。「われわれ法律家のできることには限界がある」と森川氏は言うが、この問題にまったく無頓着だった私をはじめとする多くの司法書士は考えさせられることが多い研修会になりました。