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コラム

債権譲渡登記

2008/09/12

【債権譲渡登記に関する無料相談は当事務所054-251-2681へ】

 債権譲渡登記制度は,法人がする金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について,簡易に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です。金銭債権の譲渡または金銭債権を目的とする質権設定をしたことを第三者に対抗するためには,原則として確定日付ある証書によって債務者に対する通知を行うか,債務者の承諾を得なければなりませんが,法人が金銭債権を譲渡した場合または金銭債権を目的とする質権設定をした場合に限っては,債権譲渡登記所に登記をすることにより,第三者にその旨を対抗することができるとするものです。
 債権譲渡登記制度は,債権流動化をはじめとする法人の資金調達手段の多様化の状況にかんがみ,法人が金銭債権の譲渡などをする場合の簡便な対抗要件制度として,平成10年10月1日から運用が開始されました。

2  債権譲渡登記制度について
 (1 ) 債権譲渡の対抗要件とは
   民法467条は,債権を譲渡した場合,その債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者であることを主張するためには,譲渡人から債務者に対して債権譲渡の事実を通知するか,債務者の承諾を得なければならないこととしています。
 また,その債権譲渡の事実を債務者以外の第三者,すなわち,債権の二重譲受人,差押債権者,破産管財人などに対して主張するためには,この債務者への通知または承諾の手続は,確定日付ある証書によって行わなければならないとしています。
 このように,債権譲渡の事実を債務者や第三者に対して主張するための法律要件が債権譲渡の対抗要件といわれるものです。

 (2 ) 債権譲渡登記制度による対抗要件の特例
   債権流動化などの目的で,法人が多数の債権を一括して譲渡するような場合には,債務者も多数に及ぶため,すべての債務者に民法所定の通知などの手続をとらなければならないとすると,手続・費用の面で負担が重く,実務的に対抗要件を具備することは困難となります。
 そこで,債権譲渡の第三者対抗要件に関する民法の特例として,法人がする金銭債権の譲渡等については登記をすることにより債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるとしたものが,債権譲渡登記制度です。

 債権譲渡登記の効果は,債務者以外の第三者との関係で(注),民法上の確定日付ある証書による通知があったものとみなされるというものであって,この登記により債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではありません。
 債権譲渡登記制度においては,登記の真正を担保するために譲渡人と譲受人が共同して申請しなければなりませんが,仮に,譲渡人および譲受人が通謀して虚偽の登記を申請し,実際に生じていない債権や既に消滅した債権について債権譲渡登記がされたとしても,これによって譲渡の対象となった債権の存在が公的に証明されるわけではありません。
(注)債権譲渡登記をしても,債務者に対しては,債権譲渡の事実を主張することはできません。債務者に対しては,登記をしたことを証する登記事項証明書の交付を伴う通知をしてはじめて,債権譲渡の事実を主張することができるとされています。

 (3 ) 債務者の留意点
   債権譲渡の通知を受けた場合,債務者は以下の点に留意して対応する必要があります。
 まず,債権者から債権譲渡の通知を受けた場合または債権を譲り受けた者から登記事項証明書の交付を伴う債権譲渡通知を受けた場合においては,債務者は,その後は,債権の譲渡を受けた者を債権者として扱えばよいこととなります。
 弁済をする前に同じ債権について競合する内容の通知を2つ以上受けた場合は,<1>双方の通知が債権譲渡登記の登記事項証明書(後記の3(3)参照)を交付してされたものであるときは,当該証明書に記載された登記の日時により,いずれの登記が先にされたかを確認した上,先にされた登記において譲受人とされている者を債権者として取り扱うこととなります。<2>登記事項証明書の交付を伴う通知と民法467条の確定日付ある証書による通知が競合した場合は,登記事項証明書に記載された登記の日時と民法の通知が到達した時を比較して,その先後を判断することになります。

 (4 ) 債権譲渡登記制度の見直し
   平成17年10月3日に「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律148号)が施行され,債権譲渡登記制度については,企業が有する資産を有効に活用し,更なる資金調達の円滑化・多様化を図るため,債務者が特定していない将来債権の譲渡についても登記によって第三者に対する対抗要件を備えることが可能となりました。

※以上、法務省HPより

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