コラム
多重債務者の減少?(債務整理・借金問題)
2008/05/14
今月13日の金融庁発表によると、消費者金融などから5件以上の無担保無保証借り入れがある「多重債務者」が昨年度末(今年3月末)で117万7000人となり、前年同期から31・2%減少したらしい。貸金業法改正により、業者による自主的な上限金利引き下げ・債務者選別が進み、多重債務者増加に一応の歯止めがかかったようにも見える。
昭和50年代から社会問題となっていた多重債務者問題もようやく収束に向かったのか・・・。
しかし、同日発表された他の数字を見ると、そうとは思えない。債務者数全体は3・6%のみの減少で1126万人。借り入れ件数3~4件の債務者は微減、1~2件の債務者はむしろ微増となっている。
そして、最も注目すべき点は、3カ月以上の延滞者が199万人で、12・3%も増えていることだ。
少し前なら、延滞者は新たな融資先を容易に見つけることができたので、このような数字にはなりえなかったはず。加えて、来年施行される借り入れ総量規制により、借り換え(おまとめローン)が不可能になるケースも多くなるのは明白で、「多重」ではないものの返済に苦しむ債務者は増加する一方ではないかと考える。そうした場合、延滞の続く債務者が向かう先は違法貸金業者であるかもしれない。
当職が扱う多重債務事件数も、減少する気配が一向にない。貸金業法改正でもダメとなると、一体どうすれば多重債務問題が根絶されるのだろうか。日本は袋小路に迷い込んだか・・・。
とりあえず、私は実務家として、債務整理事件を個別に丁寧に解決していくほかない。