コラム
昨日の相談者
2008/05/22
昨日、Aさんから債務整理の相談があった。サラ金数社に借入れがあったがすでに完済し、相当の過払い金が発生する案件だった。ここまではよくある話だが、Aさんから聞いた話の中に聞き捨てならないものがあった。
Aさんが過払い金の存在に気づいたのは、ある電話がきっかけだった。
「○×救済の会」を名乗る電話が突然かかってきた。「サラ金からの借入れがあった人は過払い金を回収できます。当会ではそのための司法書士を紹介します。」というものだ。「どうして私の電話番号を知ったのですか?」と尋ねると「数字の組み合わせで無作為に電話番号を作出した。借入れがあったか否かをはじめから把握しているわけではない。」と答えたらしい。「○×救済の会」から紹介された東京都台東区のT司法書士に電話し、費用等の説明を受けた。T司法書士に依頼しようと考えたが、よくよく考えてみるとおかしな話だから私に相談したというのだ。
たしかにおかしい。私の推理では、「○×救済の会」を名乗る人物はサラ金会社の社員(元社員)あるいはサラ金会社から何らかの手段で顧客情報を入手した者で、T司法書士からその報酬の一部を仲介料としてもらっているのだろう。Aさんの話によるとT司法書士の報酬は回収金額の30%というから相場(20%)より10%も高い。その10%が「○×救済の会」に流れているはずだ。本来なら、それは依頼者に返ってくるはずのものである。
全国には様々な消費者支援団体がある。現に多重債務に困っている方々を救おうと必死に頑張っている会も多い。しかし、多重債務に苦しむ人々の自己申告があって初めて救済に着手できる。すでに完済した消費者を対象として自ら電話をする会など存在しないはず。「○×救済の会」とT司法書士が手を組んでいるとしたら、T司法書士は司法書士法に抵触する方法で不当に誘致を行っているとしか思えない。
提携弁護士、提携司法書士は星の数ほど存在するという話を聞いたことがある。ちゃんと過払い金を回収するのだからいいじゃないか、という話ではない。ようやく完済を果たし、自由な暮らしを手に入れた依頼者が新たな被害に陥ることになるのだ。