コラム
規制緩和、自由主義の行き先は
2008/07/09
今朝のワイドショーで、アメリカの病院で患者が待合室の椅子から転げ落ち床に横たわっていたにもかかわらず1時間以上放置され死亡したというニュースを見ました。監視カメラによる映像も公開されていたが、警備員、看護婦、他の患者は見て見ぬふりをしたままだった。ちょうど10年前、約1ヶ月カリフォルニア州サンディエゴに滞在したことがある。そのときは実にフレンドリーで気持ちのいい国だと感じたものですが、今回のニュースはとてもショックです。
日本でも昨年11月、静岡県浜松市において70歳のホームレスの女性が浜松市役所敷地内のアスファルト上で衰弱死した事件がある。JR浜松駅地下街で衰弱しているところを警察に発見され救急車により市役所の敷地内に運ばれてきた女性に対し、市の福祉担当職員は非常食を渡したらしいが、それは湯や水で戻さないと食べられない乾燥米。職員は袋を開封してあげることもせず、湯や水の用意さえしないで袋を女性の傍らに置いただけだったという。どういう了見なのか、まったく理解に苦しむ。すぐに非常食を食べていたら助かったのかはわからないが、その後の対応も実に「お役所仕事」だったという。数時間後、女性は死亡した。おそらく、行き交う人々も何もしなかったのかもしれない。
自由競争社会においては働いたもの、努力をしたものが勝者。それはそれで素晴らしいことでありましょう。しかし、「敗者」には誰も手を差し伸べないのでしょうか・・。規制緩和により自由主義がますます加速する現代日本ですが、それと引き換えに大事なものを失うことがあってはなりません。