コラム
「少額訴訟」 について
2008/08/15
「少額訴訟をしたいんだけど・・」、無料相談において少額訴訟についてのご質問を受けることがよくあります。少額訴訟とは一般の訴訟とは違う特殊な裁判であることと、私が実際に少額訴訟の代理人を務めたのは3回限りであるので、即座に明快な回答をできない場合がありました。今日は少額訴訟について簡単にご説明したいと思います。
少額訴訟とは、1)訴訟の目的の価格が60万以下で、2)金銭の支払いを目的とするもの、です。
ほかに通常の裁判と違う点は、
①証拠は即座に調べることができるものに限る
②被告は通常の裁判に移行させることができる(原告はこれを拒めない)
③通常の法廷ではなく、ラウンドテーブル(円卓)で話し合いをするような形式で行われ、やや和やかな雰囲気さえ漂うことがある
④判決において、分割払い・支払いの猶予などを定めることができる
⑤裁判期日のうちに判決が言い渡される
こんなところです。
もし司法書士・弁護士を代理人として立てたとしても、裁判官は当事者の同席を求める場合が多い。少額訴訟は「裁判」というより「話し合い」に近い性質だからです。通常の訴訟と違い、法律家に任せっきり、というわけにはいかないことになります。
また、司法書士等に依頼すると、報酬(事務所によって違いがありますが回収に成功した金額の10%~20%程度)や実費(1万円前後)がかかります。裁判に勝ったとしても、ペイしない場合も出てきます。法律家に依頼する際は、ここらへんをお考えになって慎重にお決めになったほうがいいでしょう。
これらの点から、法律家に頼らずご自分でやることを前提とした制度であるとも言えましょう。
そして、以下の点は通常の民事裁判についても言えることですが、当事者(特に被告)が裁判期日に出廷しない場合は、被告が原告の言い分を認めたことになり(これを擬制自白といいます)勝訴します。しかし、裁判に出廷しない人は判決に素直に従うこともまずありません。この場合は強制執行という別の手続が必要になるので注意が必要です。